福岡高等裁判所 昭和24年(つ)587号 判決 1949年12月06日
被告人
吉村益雄
外四名
主文
原判決を破棄する。
本件(但し訴因第三十六を除く)を佐賀地方裁判所唐津支部に差戻す。
理由
弁護人田中廉吾の控訴趣意第一点について。
原審檢事の述べた起訴状記載の訴因第十七第二十二の要旨が孰れも相被告人岡本久太と共謀して被告人岡本の業務上保管している公金を橫領したとあるを判決においては被告人吉村益雄の犯罪事実として孰れも被告人吉村が自己の業務上保管中の公金を單独で橫領した旨示してある。而して記録に徴しても訴因の変更のあつたことは認められない。然らば犯人の身分に因り構成すべき業務上橫領行爲にその身分なき被告人吉村が加工したとして起訴されている右各訴因をその適法な変更なくして被告人吉村自身は右業務上保管の身分あり同被告人單独にて橫領したものと認定した原判決は審判の請求を受けない事件について判決した違法がある。論旨は理由がある。